製作の加工例を紹介します



ここでは、当社のオリジナル製品である「ベンチ」の製作工程をご紹介します。

このベンチは「シーサイドベンチ・シンポジウム」というイベントの為に製作したものです。
作品は、東京都江東区にある「若洲海浜公園」に展示してあります。

①模型から検証して実物を製作していきます

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球体と木材とを組み合わせた、「ベンチ」の模型です。 
これを実製作していく作業の流れを紹介します。


②ベースの球体の製作

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ずはベースとなる球体を作ります。 今回使用するのは、SUS304 600φの半球を組み合わせます。
今回の半球は「プレス加工」にて製作しました。


③球体の穴明け加工

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木材の「座面」を取り付けるのと、地面に固定する為 半球をカットしなければいけないのですが、
この作業はレーザー加工で行います。


④レーザーカットの断面

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今回は2D(2次元)レーザー機で奇麗にくり抜けましたが、
レーザー加工機の高さ制限がある為、400(H)以上になりますと3Dレーザー機を使用しなければなりません。


⑤カット部分の仕上げ

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レーザー加工でカットしてもらった部分は、そのままの状態では「バリ」というものがある為、
 手で触っても良いように切り口をきちんと仕上げておく必要があります。
 そこで当社では数種類の機械を使って、切り口を奇麗に仕上げていきます。


⑥バリ取り作業(1)

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レーザーカットの切断面を「グラインダー」と「リューター」を使って内面の「バリ」を処理します。


⑦バリ取り作業(2)

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番手の違う数種類の「サンダー」を使い、さらに切り口を仕上げて行きます 。
 さらに今度は手加工で、内面を「ヤスリ」を使って細かい「バリ」 を取って行きます。


⑧バリ取り作業(3)

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何段階にも分けて仕上げ作業をする事によって、このように手で触っても怪我しない
なめらかな切り口になります。 


⑨組み合わせ

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ここからが溶接加工の工程になります。 まずは溶接する半球と半球をこのように合わせます。


⑩溶接(仮止め)

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組み合わせた部分に段差が出来ないよう、丁寧に全周「仮止め」していきます。
溶接工程においてこの「仮止め」は、完成品の善し悪しを決めるとても重要な作業です。


⑪溶接(本溶接)

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続いて「本溶接」に入ります。 
今回の半球は板厚が厚いので「溶接棒」を使って、ピンホールが無いように、しっかりと溶接していきます。 
写真にあるように、溶接中はこのような猛烈な光が出ますので、
「フェイスマスク」をしてないと溶接箇所を直視できません。


⑫溶接(溶接の完成)

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全周溶接出来たら、これで溶接完成です!!
溶接が終わった直後は溶接の際の熱によって歪みが出るので最大限の注意を払わなければなりません。


⑬ビードカット

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ステンレスの製品は溶接後、表面処理をしなければ製品になりません。 
ステンレスの表面処理は、酸洗処理・電解研磨処理など 用途によって様々な方法があるのですが、
今回は「バフ研磨仕上げ」という処理をします。 
まずは、このように「サンダー」を使って溶接の「ビート」を取って行きます。


⑭バフ研磨

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全体的に「ビート」を取り終わると、この時点で研磨専門の加工業社さんへ持って行きます。
 丸1日以上かけて、球体全体をピカピカにしてもらいます。 
この研磨という加工も、「職人技」がキラリと光る私達溶接加工業にとって無くてはならない技術なのです。


⑮製品の完成

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木材の「座面」を取り付けたら、「ベンチ」の完成です。
 このように、金属の加工は様々な加工を組み合わせ、たくさんの職人さんの手によって作り上げて行くのです。


金属と金属を接合するにはいろいろな方法がありますが、接合のメカニズムの相違によって分類しますと、「ボルト締め、リベット締めなどで代表される機械的接合法」と、「接合部に熱や圧力を加え、必要により溶接材料を溶融する治金的接合法」に大別されており、そして、その治金的接合法のことを一般に溶接と呼んでいるのです。 また「溶接」は、その接合する手段によって、融接、圧接、ろう接の3つに大分さます。

融接

被溶接材料(母材)の溶接しようとする部分を加熱し、母材のみか、または母材と溶加材(溶接棒など)とを融合させて、溶融金属をつくりそれを凝固させ接合する方法。機械的圧力は加えない

圧接

接合部へ機械的圧力を加えて行う溶接法。冶金学的には、抵抗溶接、摩擦圧接などが、圧接に分類される。

ろう接

母材を溶融することなく、母材よりも低い融点を持った金属の溶加材(ろう)を溶融させて、毛細管現象を利用して、接合面の隙間にゆきわたらせて接合をする方法。 
硬ろうを用いる「ろう付」と、比較的融点の低い軟ろうを用いる「はんだ付け」とがある。